37144人が本棚に入れています
本棚に追加
ソウルは頷き、石に手を伸ばした。
そして、持った瞬間。
パリーン
魔石には亀裂が走り、最終的には砕けてしまった。
「こ、これは……」
魔石が割れるということは、魔石で計ることが出来る量を越えているということだ。
魔石で計ることが出来る量を越えた魔力を持っている人は少なからずいるが、それでも、段々変色し、これ以上変色できなくなり砕けちる。持つだけでヒビが入るなど、聞いたことがなかったのだ。
「喜べ、ソウル! お前はもう『落ちこぼれ』なんて呼ばれることはない! それどころか、世界最強になれるかもしれないぞ!」
ラルクは大興奮だった。
『落ちこぼれ』と呼ばれ、馬鹿にされ、親にも見放されていた子が、これでもう悲しい思いをしなくても済むからだ。
「ほら、早速兄さんに報告に行かないと!」
「待って!」
直ぐさまラウルに伝えに行こうとするラルクを、ソウルが止めた。
「もし、これで僕があの人達に認められたとしても、僕はあの人達を親だと思うことはできないよ」
苦しそうな表情で、ソウルは行った。
今更親面されたところで、ソウルの心は拒否するだろう。それほど、心の傷は大きかった。
「そうか……お前がそういうのなら、このことは秘密にしておこう」
ラルクは、ソウルの思いを理解したのだろう。二人だけの秘密にすることにした。
「今日からは、魔法も教えてやるぞ! それだけの魔力があるんだ。魔法を覚えれば、ギルドにでも行ってみるがいい。両親から独立するなら、金は必要だしな」
最初のコメントを投稿しよう!