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ザッザッザッ
周りは暗く、闇夜に包まれている。
一直線に伸びる道の周りには、貴族のものと思しき豪邸が立ち並んでいる。
大きな門が立ち並び、重苦しい雰囲気を醸し出していた。
夜ということもあるが、貴族の家が立ち並ぶ通りだ。
貴族以外の人間が通るはずもなく、人の気配など皆無である。
そんな通りに、二人の足音が響いていた。
「いいのソウル?私までお邪魔して……」
二人の片割れ声を出した。
どうやら女のようだ。
金色の髪を靡かせ、その髪は夜の闇の中にあっても輝きを放っていた。
「いいんだ。両親には言ってるし、いつかは紹介しないといけなくなるしな」
残りの片割れは、どうやら男のようだ。
綺麗な赤色の髪を靡かせている。16歳にまで成長したソウルであった。
二人はその後、無言で歩き、通りを抜け、さらに歩みを進めること数十分。ぽつりと立つ、一つの大きな城の前で歩みを止めた。
門の前に立っていた門番が、ギロリと睨みを効かせる。
「何者だ! ここは世界三大貴族であらせられるラウル=アルクス様の御実家であるぞ!」
二人の門番のうちの一人が怒鳴る。
「俺は、アルクス家長男ソウルだ。昨日、帰ると連絡を入れてあるから、あなたたちにも情報は来ているはずですが」
門番達は驚いていた。
あの『落ちこぼれ』がこんなに立派に育っているとは思いもしなかったからだ。
「ア、アルクス家だという証明はあるか?」
ソウルは、首にかけていたペンダントを見せた。
それは、アルクス家の者だけが掛けることを許されている真紅のペンダントである。
「し、失礼しました。どうぞ御通りください」
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