帰郷

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扉を開き、フェリルを招き入れ、自分も入る。 中には、ドレスを着ている女性と、軽い服を来た男性が椅子にかけていた。 「お久しぶりです」 「何をしに来た」 ソウルが言うと、父、ラウルから間髪入れず冷たい声が飛んで来た。まるで会いたくなかったかのように。 「学園への編入が決まったので、その報告に参りました」 ソウルがそう言うとラウルは、ほぅ、と声を出した。 「お前でも入れるのだな、どれだけレベルが低いんだ、学園は」 そう言ったラウルに向かって、フェリルが声を上げようとしたが、ソウルに阻まれてしまった。 ラウルの言葉を無視し、今度は母――オルマに目線を変えた。 「お久しぶりです。お元気そうでなによりです」 「あら、あなたまだ生きてたの?三年近く連絡がないからもう死んでしまったのかと思っていたわ」 なんてことを言う母親であろう。自分がお腹を痛めて生んだ子供にいう言葉ではない。 「残念ながら、死んではいませんよ。残念ですね、『家の汚点』が消えていないで」 「ちょっとソウル!」 今まで黙っていたフェリルが声を上げた。さすがにこれは見逃せないようだ。 ソウルはフェリルに「もう少し待って」と合図し、前を向いた。
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