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次の日。
「な、なんだこれは!!」
叫んでいるのは夫――ラウルである。
今日は、昨日生まれた子供達の魔力を調べている。
特殊な石を持たせ、色の変化具合で魔力を計る、という品物だ。
魔力が多ければ多いほど、赤く濃い色になるのだ。
その石を今、息子のソウルに持たせたところだ。
「何故だ! 何故何の変化もしないんだ!」
ラウルの言うように、ソウルの持っている石は、色が変わることもなく、白いままだった。
「何故だ! 俺の息子だ! 世界三大貴族である『アルクス家』の次期を担う息子が……」
ラウルは愕然としていた。
「兄さん! 今の声は!?」
先程の叫びを聞いて、男が一人、部屋に入って来た。兄さん、と呼んでいるところを見ると、兄弟なのだろう。
「ラ、ラルク……」
「どうしたんだい? 息子がどうとか叫んでいたけど……」
「ソウルの…魔力が…石が…反応しないんだ…」
「え……」
急いで石を見てみると、確かに変色しないで、白いままだった。
変色しない。
つまり……
「魔力が……ない?」
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