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それからは、ソウルにとっては苦痛の日々だった。
両親には、相手にされず、親の愛に触れることはなかった。
食事は家族と同じものだったが、食堂に行くことは許されず、自分の部屋でメイドが運んで来た食事を一人で食べるだけだった。
帝王学等を習っているレンリエッタ、愛称レンとは違い、人並みの学習内容だった。
たまに家で開かれる舞踏会にも出ることは許されず、部屋で一人で泣いていた。
そんな彼にも、味方はいた。
父親のラウルの弟、ソウルから見れば叔父さんであるラルクと、双子の妹であるレンだ。
ラルクは、構ってくれない両親に変わりに、ソウルを実の息子のように接してくれた。
妻を早くに亡くし、子供のいないラルクにとっては、本当に自分の息子だと思っていたのかもしれない。
レンは同い年なのにソウルを「お兄ちゃん」と慕い、いつも後ろを付いて歩いた。
しかし、成長するに連れ、「お兄ちゃん」と慕うレンは消え、逆に汚らしいものを見るような目になった。
「お年頃」というやつに、両親の影響が出たのだろう。
家にいるのが耐え切れなくなっていたソウルは、叔父さんであるラルクの家に行くことが多くなった。
そこには、実家には決してないものが沢山あった。
ソウルに対しての『愛』だ。
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