37143人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
「よし、始めるぞ!」
玄関から中庭に移動し、お互いに木刀を構える。
緊張が漂う。
「……行くぞ」
そう一言言い、ラルクは前に踏み出して来た。
木刀を振り上げ、ソウルに向かって振り下ろす。
ソウルは当然と防ぎ、二発目、三発目と来る斬撃を捌いていく。
(やっぱりだ。身体が軽いから、何時も以上に早く動ける。斬撃も簡単に回避できる……)
「ほらほら、どうした! お前はその程度か? 反撃してこないのか?」
全く反撃をしようとしないソウルに、挑発混じりで声をかける。
「なら、こっちからも行くよ」
そう言った瞬間、ラルクの視界からソウルが消えた。いや、正確には見えていないだけなのだが。
ポン
ラルクの頭に硬いものが当たる。
後ろを向いてみると、先程まで目の前にいたソウルが後ろにいるではないか。
「お、お前いつの間に!」
驚くのも無理はない。
目の前にいたはず人物が、一瞬にして消え、気が付けば後ろにいたなんて。
ソウルは嬉しそうな顔で
「だから言ったでしょ。今日は一本取れそうだって」
最初のコメントを投稿しよう!