壱.

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  碓斉では、国王・貴族とともに王位継承権のある公子が国王に任せられた州を治める。当然璃光もひとつ州を預かっている。   璃光自身は数度しか行ったことがないが、伶州というそこは、王都とはかけ離れて田舎で、州都からでればすぐ田んぼという土地だった。王都しか知らなかった公子ですら、どこか懐かしさを感じるようなのどかな所だった。人懐っこい村人たちのなまった歓迎の言葉がいまでも耳に残っている。   伶州では一ヶ月近く降ってないそうだ。そろそろ庶民の暮らしにも影響が出はじめるころだろう。上水道もこのままでは涸れてしまう。   「なんとか、しなければな」   この世に誕生するとともに与えられた州の人々の命は、俺が握っているのだから。
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