壱.

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カナンは賢兎が拾ってきたのだが、訳あって今は懍が預かっている。 露秦には貴族でない者も少なくないが、涼一族の血をひかない者は現在賢兎のみ。賢兎自身が元は橙舜に拾われた身無し子であるからだ。 血統と神への忠誠に重きに置く保守派はどこぞの馬の骨ともわからぬ賢兎のことを良く思っていないが、彼の保護者代わりをしている橙舜は涼家直系のうえ涼一族でも特別な存在なため強く出れないのだ。 しかし、今回部外者を拾ってきたのは賢兎。 保守派の頑固爺どもの格好の餌食となっているのだった。 先程の地響きも、おそらく今日も賢兎がキレたのだろう。朝っぱらからはた迷惑な。
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