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しばらく走り回ったあげく、やっと脱出路を発見した。もう足が棒になりそうだ。
重たい両足を無理矢理に動かして飛行船から屋外へと移行。少しは気楽になれる……
……わけねえだろ!どこだここは?辺り一面墓石だらけ。まさか墓地に墜落したのかこれ。
一難去ってまた一難、ていうか実質一難も去ってないんだけど。
「観念したらどう?もう逃げる力もないでしょ」
死神が不敵な笑みを浮かべて近付いて来る。さっきまでと口調が違い、嘲るように微笑んでいる。墓地にいる分、より一層恐怖感が増してリアルに泣きそうだよ俺。
「なかなか肝が大きいわね貴方。きっと濃厚な魂に違いないわ」
褒めてるのか?それとも脅してるのか?はっきりしてもらいたい。
「今度は外さない。すぐに逝かせてあげるわ」
再び鎌を振り上げ、獲物を見る目で俺を睨む。
そうはいくか。今度はさっきと違って少し余裕がある。血塗られた凶器の刃を避けて、俺はひたすらに走った。
見渡す限りの墓石の列。こんな墓地が町にあったのか?それに人のいた形跡がほとんどない。
とにかく隠れる場所を見つけよう。俺は偶然にも一つだけやけにサイズの大きい墓石を発見した。この際何でもいい。その墓石の裏に俺は身を潜めることにした。
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