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そのにわかに現れた艦隊は確実にこちらとの距離を縮めていく。五分もあればご到着だな。
「厄介ね。連中の目的は間違いなくこの星。地球を乗っ取る気だわ」
死神が黒い飛行船を眺めながら呟く。こいつの話を端から信用すれば、奴らはインベーダー。要するに侵略者というわけだ。
「……貴女、まだ戦える元気はある?」
「え……?」
「連中は放ってはおけない。貴女の力を貸して」
おいおい、いきなり協力要請か死神?さっきまでお前ら殺し合いしていた仲だろ。別に奨励していたわけじゃないが。
その間にも艦隊は接近を止めない。船の細部まではっきり見えるようになってきた。
いつの間にか右腕の傷が自然治癒されていた幽霊少女は悩んだ末に、
「……わかったわ。その代わりに約束して」
「何?」
「誠悟との契約を破棄するのよ。じゃないと協力してあげない」
なんと取引に出たのだ。わざわざ俺のためにそこまでしてくれた奴は今までに一人もいなかったね。親父なんて論外だ。
「……わかったわ。契約はなかったことにする」
こうして俺は死神の鎌による恐怖から開放されたのだ。いや感謝するよ幽霊少女。ホントありがとう!
「早く向かいましょう。奴らが上陸する前に片付けないといけないわ」
「任せて。空中戦は得意だから」
意気投合した二人は軍艦を潰すため大空へと旅立って行った。
何も出来ない俺はただ彼女達を見送り、インベーダー狩りを終えて帰還するのをひたすらに待ち続けるのであった。
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