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黒い雲を突き破り、さらに黒々しい色の船が俺の視界に入り込んでくるという前代未聞のハプニングが勃発。
こんな光景を目の当たりにされて、自分の目を疑う以前に夢でも見てるんじゃないのかと思ったくらい気が動転したよ。夢だとしたら悪夢以外の何物でもないぞこれ。
己の頬っぺたをつねっている間に謎の飛行船は高度を下げて来る。あー頭も頬っぺも痛い!
夢ではないと確信した俺は映画の撮影用のセットなのだと無理矢理常識的な考えを見出だした。だがあんな馬鹿でかい船が街中を飛べるほどの技術など世界中探しても尻尾すら見つかるはずがない。
「もしかして、宇宙人が来たのかも……」
春奈の驚愕な一言で俺は考えを止めた。
宇宙人?いるのかそんな奴が?
そんなSF冒険物語じゃあるまいし信じられるわけない。むしろ信じたくない。信じてたまるか。
下を見るとさっき飲んでいた烏龍茶が缶から大量に溢れ出してアスファルトにシミを作っているのに気付いた。既に回収不可能。
「見て!何かがたくさん来たよ!」
春奈の目線の先にはカメレオンのような姿の奴らが銃みたいな物を持って街中を徘徊していた。
もうわけがわからん。
「こっちに来たわ!早く逃げよう曲星君!」
いや逃げろと言われても、あれが何なのかわからんのに逃げて解決出来る問題か?
「でもこのままじゃ捕まっちゃうよ!殺されるかもしれないわ!そんなの嫌だよ!」
いや待ってくれ。少しは考える時間が欲しい。それとパニック状態になったの俺の体を落ち着かせる時間もだ。
「動くなお前達!抵抗すると命はない!」
だがもう既にカメレオン共の集団に囲まれて四面楚歌だった。銃をこちらに向けて威嚇するそいつらには逆らえず、無力な俺と春奈は拉致された。
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