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だが時間をかけて待つまでもなかった。
カメレオン共が「敵襲だ!」と叫ぶ声を耳にしたからな。おそらく自衛隊の皆さんが戦闘機か何かで救助に来てくれたのだろう。よくやった自衛隊。ありがとう自衛隊。
『敵部隊全滅!これより戦闘を終了!』
希望が一瞬で絶望と化した。全滅?ほぼ刹那じゃないか!
「さっきの騒ぎは何?」
春奈が小さな声で尋ねてきた。俺はとりあえず、
「わからないな。外の様子が皆目把握出来ないから俺達の安否さえどうだか……」
と、言っておく。実際にさっきやられた部隊が自衛隊だったのかも断定出来ないし、ここは大人しくしてるべきだと俺は判断した。
ところでだ、俺はこの宇宙人らしき連中についていろいろと考えてみた。姿はカメレオンだが日本語は喋るし行動の仕方や所持品などが人間に類似している点から、なにかと我々人間と共通点が多いことに気付いたのだ。
これは俺の仮説だが、俺達を理由不明で拉致したこのカメレオン。もしかしたら人間だった、もしくは人間に近い種族のかもしれない。根拠はないが、おそらく何か理由があってこのような軍艦を空に飛ばして俺達を拉致したのだろう。まぁ仮説だから重点視しなくても構わないがな。
『前方に未確認生命体を確認!単体でこちらに接近中!』
『何だと?狙撃班はただちに砲撃開始!調査班はデータの採取だ!この船には近付けさせるな』
何やら再び騒ぎ立て始めたようだ。どうでもいいが無線がうるさい。倉庫まで響いてきやがる。
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