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『駄目です!敵のスピードにレーダーが追い付きません!』
『なんという速さだ。もはや人間ではない』
どうやら何かがこの船に接近しているらしい。
脱出出来るかどうか、俺は善玉だか悪玉だかわからないソイツに希望を託してみることにする。この際ワラだろうが何だろうが縋る思いだ。
『敵の動きがわかりません!う、うわぁ……』
ガラス……いや全てが破壊されたような効果音と同時に騒がしかった無線が瞬間的に途絶えた。
そして沈黙。周りの連中が行う呼吸の音だけが俺の鼓膜を揺るがす。
それも五秒で打ち破られた。倉庫にでかい穴を空けてソイツがやって来たからな。
「フフ、ここにいたのね」
どこぞの声優さんの声を放ったソイツを見て、俺はハズレクジを引いた気分になった。
アニメでよく見かける大鎌を両手で構えて、背中には闇を羽織るように生えた翼、全身から殺気を放出するその姿はたとえ少女だろうと人間とは思えない。むしろ思いたくない。
「初めまして曲星誠悟。死神との御契約ありがとうございますわ」
死神?契約?What?何故俺の名前を言う?
「貴方が希望した通りに異世界人を消し去った代価、頂きに参りました」
「ちょっと待て!契約って何のことだ?それに君は誰なんだ?」
やばい、何が何だかわからない。カメレオンの次は死神だと。これは一体何の冗談なんだ?
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