プロローグ

2/4
1789人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
僕は身も心も疲弊して階段を降りるのも億劫になっている。 だらだらと降りて、古い扉の前に立つ。 ボロボロの扉がやたら重く感じ、僕は部屋に入るのを躊躇った。 6畳程の小さな部屋に入ると、パチスロの雑誌を見ていたニヤニヤした表情の男、ナカマが話しかけてきた。 『お疲れ。お前どうやったね?』 『酷かったばい。』部屋に入ってきた僕の表情はとても暗く、それだけ話すとタバコに火を付け天井に煙りを吐き出した。 ナカマはイシハラの表情をみて心中を察し雑誌に目を落す。 僕は深く聞いてこないナカマの優しさに感謝した。 しばらくテレビの音声だけが流れ、二人は何も喋らずボーっとしている。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!