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僕は身も心も疲弊して階段を降りるのも億劫になっている。
だらだらと降りて、古い扉の前に立つ。
ボロボロの扉がやたら重く感じ、僕は部屋に入るのを躊躇った。
6畳程の小さな部屋に入ると、パチスロの雑誌を見ていたニヤニヤした表情の男、ナカマが話しかけてきた。
『お疲れ。お前どうやったね?』
『酷かったばい。』部屋に入ってきた僕の表情はとても暗く、それだけ話すとタバコに火を付け天井に煙りを吐き出した。
ナカマはイシハラの表情をみて心中を察し雑誌に目を落す。
僕は深く聞いてこないナカマの優しさに感謝した。
しばらくテレビの音声だけが流れ、二人は何も喋らずボーっとしている。
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