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「何か冷やすもの…!」
あいにく近くに水の音も
しない。
熱をとるものは何か
ないだろうか…
(すごい汗…)
クロさんは額にすごい
汗を浮かばせている。
相当熱が高いのだろう。
(帽子…脱いだら少しは涼しいかな…)
黒のニット帽をかぶっている。
帽子をとろうと手をのばすが
「これは…駄目だ…」
クロさんが目をつぶった
まま私の腕をつかんだ。
「でも…」
「…頼む」
急に、クロさんが愛しく
思えた。
あんなに大人っぽかった
クロさんがとても弱々しく
見えた。
(ずっと…見守っていてくれたんだろうな…)
私が目隠しをしている間、
見張りをしていてくれたに
違いない。
(クロさん…)
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