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『お嬢様、こんなお時間にどうなさいましたか。』
雫石家の執事である桜木は額に汗をかき、普段とは明らかに違う様子でそこにいた。
『さ、桜木さん。いえ、ちょっと…。桜木さんはどうなさったの?その格好…』
桜木は全身真っ黒のコートに覆われ黒い帽子に眼鏡という姿だった。
桜木のあわて振りを不思議に思った真広は琴音の言葉を遮るように言った。
『桜木さん、もしかしてあんたも…』
その言葉を聞いた桜木は驚きと焦りを隠せず、周りを見渡すと、琴音を思い切り引っ張った。
『ぇっ、桜木さ…』
『ちょ、ぉぃなにするんだ!琴音を離せっ!』
桜木は琴音の口をふさぎ、ポケットの中から錠剤を取り出すと琴音の口に入れ、飲み込ませた。
『ぉぃ、離せってば!』
真広は桜木の服を掴み、殴りかかった。
そのはずみで桜木は数メートル先に飛ばされ、真広と琴音は二人で重なるように倒れ込んだ。
-その瞬間-
2人の身体は眩しく光り輝いた。
『しまった、これはまさか…』
桜木はその眩しさから逃れるため手で顔を覆いながらつぶやいた。
『……あ、あれ?』
『…ん、な、なぁに?』
『…は、な、なんだこれ!?…お、俺?』
『何言ってるの?真広君??』
『……なんなんだよ、おぃっ。どうなってんだよっっ!?』
『…えっ!な、なにこれ。真広君?え、私どうなってるの?な、なにこれ。』
2人は互いの顔を見ながらパニックに陥っていた。
『とりあえずここはまずぃ。トイレに行こう。』
真広の言葉に納得し、琴音も立ち上がりトイレに向かった。
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