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『お母さん?』
その言葉で現実に戻された。
そこには半年前とはあきらかに変わってしまった息子がいた。
“お母さん”と呼ばれていたのは真広が中学一年生までだった。
…はずだった。
『お母さん、大丈夫?具合悪い?僕が朝ご飯作ろうか?』
真広からお母さんと呼ばれる度、頭痛がした。
いったいこの子になにがあったの?
『大丈夫よ、気にしないで。』
決して、真広が不良になった訳ではない。
引きこもりになった訳でもない。
部屋の片づけやゴミ出しなど色々手伝うようになった。
そう、むしろ良い子になったのだ。
でも、違う。
真広じゃない。
この子は真広じゃない。
そう思ってしまう自分に腹が立ち、悲しくなる。
『…それにしても今日も早起きね。コトちゃんと遊ぶの?』
真広は一生懸命笑顔を作り頷く。
その笑顔は昔の真広の物ではない。
どこかが違う。
一体、何が?
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