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『お母さん、行ってくるね。』
そう言って出て行く真広を見送ると、実が寝室から降りてきた。
『おはよう。さつき、体調は大丈夫か?』
『えぇ、たいしたことないわ。』
いつもの決まった会話である。
真広がおかしくなってから、食べ物がのどを通らず、さつきは五キロ以上痩せていた。
実は朝目覚めると、いつも決まってさつきの体調を気遣い、さつきは決まって強がりを見せていた。
しかし、その日、さつきはついに弱音を吐いた。
『大丈夫じゃないわ。』
その言葉に実は反応した。
『あなたに、ちょっと話があるんだけど。』
実は新聞を机に置くと、まるで覚悟をしたかのようにさつきの顔を見つめた。
その真剣な眼差しに、さつきは泣きそうになる。
でも、泣いてはいられない。
-しばらくの沈黙-
そして意を決したさつきは、ついに沈黙を破った。
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