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そこにあったのは、金色に光る葉の形をしたブローチだった。
『なんでこんなところにブローチが?』
真広は嫌な予感を感じた。
ブローチを手に取り良く見ると、それには見覚えがあった。
『…このブローチって。』
それは、以前に誠がひろねの誕生日にプレゼントした物と同じだった。
(これはお父さんがお母さんにあげたブローチだ。間違いない。お父さん、世界に10個あるかないかの品物って言ってたもん。)
そのブローチはイタリアのフィレンツェで作られた物で、周りを加工しているのは本物の金である。
認めたくはなかったが、そこにひろねがいた事は否定できなかった。
(何でこんなところにお母さんが?…もしかして、さっきの物音って…)
真広は、何か大切なことを忘れている気がした。
その時!
再び後から物音がした。
ガサガサッ
真広は素早くブローチをポケットに入れ、音がする方を振り向いた。
そこには、よく知る人がいた。
悲しいような、嬉しいような顔をして立っていた。
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