-第7章-

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そこにあったのは、金色に光る葉の形をしたブローチだった。 『なんでこんなところにブローチが?』 真広は嫌な予感を感じた。 ブローチを手に取り良く見ると、それには見覚えがあった。 『…このブローチって。』 それは、以前に誠がひろねの誕生日にプレゼントした物と同じだった。 (これはお父さんがお母さんにあげたブローチだ。間違いない。お父さん、世界に10個あるかないかの品物って言ってたもん。) そのブローチはイタリアのフィレンツェで作られた物で、周りを加工しているのは本物の金である。 認めたくはなかったが、そこにひろねがいた事は否定できなかった。 (何でこんなところにお母さんが?…もしかして、さっきの物音って…) 真広は、何か大切なことを忘れている気がした。 その時! 再び後から物音がした。 ガサガサッ 真広は素早くブローチをポケットに入れ、音がする方を振り向いた。 そこには、よく知る人がいた。 悲しいような、嬉しいような顔をして立っていた。
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