-第8章-

4/9
前へ
/211ページ
次へ
「平成18年1月10日(火)スキーから帰宅してから周りの様子がおかしい。桜木はどこへ消えたんだ。琴音もおかしい。どこがと言われると分からないが、たまに遠い目をする。何かに苦しんでいるような目だ。ひろねも、何かに怯えている。何なんだ。明日は診療が休みである。久しぶりに京都へ行こう。ひろねに嘘を付くのは心が痛むが仕方ない。何かしら情報をつかまなければ、余計な事は言えない。オヤジ、待っててな。」 誠はこの5日間、家に帰るのが苦痛で仕方なかった。 その日も、帰宅し夕飯を食べると、酒に見向きもせず風呂へ向かった。 洗面台のある脱衣場で服を脱ぎ籠に入れようとすると、一枚の紙が目に留まった。 『…なんだこれは。』 四つに奇麗に折られた紙を開くと、そこには小さな可愛らしい文字が並んでいた。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

221人が本棚に入れています
本棚に追加