-第8章-

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誠はまるでシャワーを浴びたかのように汗をかいていた。 その便箋を服の間に隠すと、誠はゆっくりと湯船に浸かった。 月に二回程通うスポーツジムで鍛えられた体は、51という年齢を感じさせない程、綺麗に引き締まっていた。 浸かった湯船から流れ出るお湯を眺めながら、誠は日に日に増す頭痛を感じていた。 (ひろねに、一体何があったと言うんだ。俺はひろねを分かっているつもりだった。…それは、間違えだったと言うのか。結婚して20年以上経つと言うのに…。なあオヤジ、この世界は一体どうなってるんだろうなぁ。) 誠は、これから起こる何かに、不安を感じてならなかった。 睡魔に襲われそうになった誠は早々に風呂から上がり、鏡の前に立つと、気持ちを引き締めた。 (とりあえず、明日は京都だ。)
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