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怒鳴っていた長身の男と、白のスェットをはき上半身裸で、両肩に刺青をした若い男が、奥の和室から出てきた
その若い男は、かなり熟睡していたのだろう…
頭はかなりの寝ぐせで、寝ぼけた顔はしまりが無い
そしてフラフラと喧太の前にきた・・・
だが、その不恰好(ぶかっこう)からは想像もつかないほど、挨拶はキチンとしていた
若い男
「ごくろうさんです!」
そう言って頭を下げると、ジャンパーを急いで着て、失礼します!と言って部屋から出ていった・・
男
「ごめんねぇ・・・
飲み物切らしちゃっててさぁ
買いに行かせたから・・
江木くんったっけ?
俺、沢田って言うから
よろしくね」
喧太の横に座り、男は名刺を渡しながら優しく語り掛けた・・・
その男は、林野一家事務局長(当時)沢田 隆明25才だ
札幌の巨大歓楽街ススキノに、自分が経営する飲食店を何軒か持ち、銀行なんかにも顔が利く沢田は、商売上手なインテリ風だった
沢田
「高戸に連絡したから・・・
もうすぐ着くらしいよ」
喧太
「お手数かけて すみません」
沢田
「ところで・・・・
江木くんて不良?」
喧太
「いえ・・・違います・・
カンカン(少年鑑別所)で高戸さんと知り合ったんです・・」
沢田
「そっかぁ・・・
不良になる気ないの?
面もいいし、不良で食ってけるタイプだよ」
沢田のこの言葉は、嬉しく感じた喧太
そして高戸と再会した・・・
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