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喧太と高戸がソファーで談笑していると、沢田や、先ほど買い出しに行っていた若者も、楽しそうな2人の会話に加わってきた
高戸が、その2人を紹介しだした
高戸
「このスェットくんは
柳田と言って喧太より
ひとつ下で今日の当番、
沢田の兄さんは林野の局長で、優しい顔してるけど、怖いシト(笑)」
柳田
「スペ○○ーの
江木さんですよね・・・
初めてまして!よろしくです!」
この柳田という若者の口から自分の名前と、所属していた暴走族の名前が出て、少し驚いた喧太
喧太はこの若者を知らなかったが、柳田は、どうやら喧太を知っていたようだ…
喧太
「こちらこそ・・・・」
沢田
「江木くん、
高戸のほうがヤバい奴だから気をつけなよ(笑)」
喧太
「は・・・はい・・・・」
高戸
「なーんだよ喧太(笑)
元気ねぇな(笑)
緊張してんのかぁ?
あの写真の左側がうちの
オヤジ(会長)・・・
そんで右側がK組の親分・・隣の写真の方がN会の大親分だよ」
高戸が指差すほうには、立派な額に納められた写真が2つ並んでいて、羽織袴(はおりはかま)姿の2人の勇壮な人物が写る写真と、これまた勇壮な人物が1人で写る大きな写真が飾られていた・・・
1枚は、N会総裁が1人で写る写真で、もう1枚は、K組の親分と林野一家の会長が並んで写る写真だ
N会総裁を取持人に、K組親分と、林野会長が親子盃を酌み交わした時の写真だった
初めて写真で見た林野会長は、恰幅が良くて眼光が鋭く、近寄りがたい感じだった……
高戸や沢田、それに柳田の人情に触れ、しばらく忘れていた人の温かさを感じた喧太・・・・
ずぶ濡れになり、飛べなくなった鳥が翼を休め、その濡れた翼を乾かす場所・・・
そしていつか、はばたこうとする場所
林野の事務所は、そんな場所のように感じた喧太だった・・・
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