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S町でクリーニング店を営む、ある夫婦が居た……
この地で古くから商売していた、個人経営のクリーニング屋で、それなりに繁盛していた
だが………
全国チェーンのクリーニング店が何軒かS町に進出し、大型スーパーも建ち、その店舗内にもクリーニング店が出来ると、客足はパッタリ途絶えた
それまで順調だったクリーニング屋の経営が、行き詰まる……
それと客足が遠のいた、もう一つの理由
それは夫婦が、S町で知らぬ者は居ない有名人、谷政と付き合っていたことだった
この店に衣類をクリーニングに出した客が、シミが抜けてないとクレームをつけると、この客の家に谷政がやってきて、ものの1分でクレーム客は撃破された
カランコロンカランコロン
遠くから下駄の音が鳴り響いてくるたびに、町の人達は震えあがった……
た……谷政だ………
谷政が来たぞー!
これは大袈裟(おおげさ)な話しでも、ゲゲゲの鬼太郎の話しでもない(笑)
それほど谷政と言う男は、めんどくさく、もの凄くうざく、相手にすると、こっちが精神的におかしくなるような男だった……
クリーニング屋の夫婦は、夫婦揃ってギャンブル好きで、派手好きで これまた町の話題に事欠かない夫婦だった
特に旦那よりカミさんが有名で、大阪のオバちゃんも着ない派手な玉虫色のセーターや、デカい虎や犬の絵が入ったトレーナーをこよなく愛し着用していた
和田アキ子ヘアを茶髪に染めあげ、セルライトだらけの見事な巨体を揺らして歩くカミさん
その姿は、吐き気と笑いを同時にさそうという、めずらしい生物の姿であった
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