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初代谷政組
組長 谷口政臣(まさおみ)55才
谷政は九州出身で、20才の頃に、九州の名門博徒一家と縁を持つ
気性が荒く かなり短気の谷政は、もっぱらケンカで一家に迷惑をかける
そのたびにケジメをつけ、指チョンパするものだから、両手の小指は第2関節まで綺麗に断指されていた
指は第1チョン、第2チョンと落とすので、計4回も不始末をしでかしたということになる
とある年に、谷政が属する一家と関西の組織が抗争に突入する
相手の血を見るのが生きがいの谷政は、和解を模索した親分の意を無視し、相手側の幹部を日本刀で斬りつけた
瀕死の重傷をおいながらも、一命をとりとめたその幹部を、和解が成立した1ヶ月後に、無残にも斬殺してしまう
谷政が23才の時だ
和解に奔走した仲裁人のメンツを潰し、自分の意に反した行為に、烈火の如く激怒した親分は、当然、谷政を絶縁し、行き場を失った谷政は、ほどなく警察に捕まった
殺人の罪で18年の刑期を受け、九州の刑務所にて満期まで、しっかり務めた谷政だったが、九州のシャバに戻っても、すでに帰る場所は無く、当時、北海道に居た兄弟分を頼って北上し、S町に腰を落ちつかせ自分の組を結成する
だが短気ですぐ感情的になる谷政に、ついていく若者は皆無で組長谷政1人だけの組織だった
手首から足首まで、びっしりと彫られた刺青は見事なドンブリだったが、それを隠すことなく上半身裸で練り歩き、周囲を威圧した
普段は鉄火(てっか)シャツ上下に下駄履きと、コントのヤクザ役でもしないような、いでたちで異様にも見えた
大きな利権があるS町には、関西系組織の枝や、関東系組織の枝が、互いに利権を求め、群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)していたが、どの組織も谷政に関わるとロクなことないと、眼中に無く、構うこともなかった
それをいいほうにとらえた谷政は、俺は顔が利くと見事に勘違いをして、大手をふって町で悪さをしていた
大きい声では言えないが、町の人も不良達も、谷政本人が早く気づいて精神病院で治療に専念してほしいと思っていたのだ
そんな谷政を兄貴と慕う奴が現れる
林野一家と縁を持つ前で、まだチンピラだった真鍋である……
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