『ＤＲＩＶＥ』

～菜摘～

子育てに追われる母親は、やがて忙しい店の手伝いを出来なくなってしまう。

その穴埋めにと、アルバイトの夫婦を雇うことから父親のタガが、はずれてしまった。

元々、ラーメン屋を経営していたそのアルバイトの夫婦は、すぐに父親の作るラーメンのレシピを覚え、店の全てを任せれるようになった。

金と時間の余裕が出来てしまう菜摘の父親……

当時、ラーメン屋の店舗の二階に、運の悪いことに雀荘があった

最初は暇潰し程度に、この雀荘に顔を出していた父親ではあったが、さらなる刺激を求めてか、素人では手が出ない高レートの麻雀にハマってしまう。

幸せな家庭を崩してゆく大きな落とし穴……

早いうちに気付くならいいのだが、刺激を求め続ける悲しい人間の性（さが）。

父親は、幸せな日々よりも、その場の刺激に負けてしまう。

その内、悪い麻雀仲間から、余計なことに競馬なども教わり、ギャンブルとは縁の無い１人の男は、すっかり賭事の魔力に取り憑かれてしまった。

連日のように店の売上をギャンブルに回す

いくら繁盛店(はんじょうてん)でも、出資と売上のバランスが崩れれば、当然、借金する事になる。

ギャンブルで金を増やし、すべて丸く納める。

この法則が間違いだと気づいた時には、すでに膨大な借金を抱(かか)え、どこの金融機関からも相手にされず、更に店の仕入れすら困難(こんなん)になっていたのだ。

･