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公園で仲間とハシャいでいた菜摘の携帯が鳴る・・・
電話は母親からだった
リカ
「菜摘、朝はごめんね・・・
お誕生日おめでとう・・・・・まだ帰ってこないの?
もうそろそろ旭川行かない?」
菜摘
「・・・・・うん・・・・・
わかったよ・・・・・」
菜摘は素直に喜ばず、逆に怪訝(けげん)な感じで返事を返し電話を切る
菜摘
「カァ(母親)からだよ
あたし 帰るわ・・・」
公園に結花達を残し、菜摘は1人家路についた
今朝、母親は居なかった…
それが許せなくて素直じゃない菜摘・・・
でも本当は嬉しかった・・
歩きながら何買ってもらうかなと14才の少女の母親への素直な甘えが湧き上がる
親子2人だけの家庭で、いつも家で1人ぼっちの菜摘
だからこそ母親と一緒に居れる喜びは誰よりも強かったに違いない…
自宅に着き、玄関ドアを開けると見知らぬ靴が目に飛びこんできた
リカ
「菜摘?」
菜摘
「うん・・・つか誰か来てるの?」
そう言いながら彼女は靴を脱ぎ居間のドアを開けた・・・
居間のソファーでくつろぐ見たことのない中年男と、立ちあがった母親が菜摘の目にはいる
ソファーに腰かけた男が軽く頭を下げてきた・・・
その光景を見て固まる菜摘・・・
帰宅途中こみあげた喜びはこの瞬間、体から抜け、そのあとの虚脱感が足元を震えさせた・・
フワフワとした感じの中で、2人の姿がみるみるぼやけていく菜摘…
彼女の純粋で透き通る瞳が徐々に涙で、濡れてきたあかしだった……
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