~菜摘~

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そのまま公園を飛び出して、走って家に帰る…… 本当は友達と遊びたかったが、楽しそうなフリまでして走る…… 家に着くと、カーテンが閉めきられた薄暗い居間で、音を出さずにテレビを見る 朝のワイドショーが終わる時間にもかかわらず、朝まで酒を浴びてた母親が、奥の寝室で寝ていた。 テーブルに置かれているお土産の焼き鳥に、音を出さないように手をのばす菜摘。 冷めて堅くなった焼き鳥…… その焼き鳥の味だけが、寂しさを打ち消してくれた。 昼になり、やっと起きだした母親の目に映る娘の姿は、カーテンも開けず、うす暗い居間で、無音のテレビの前にちょこんと座る我が子の姿だった。 そんな菜摘の姿を見て、胸が締め付けられ目頭が熱くなる母親。 彼女は、とても娘想いだった 小学生の頃の菜摘もまた、母親をとても想っていた。 だが…… 中学生になった菜摘は、非行を繰り返す少女になる 孤独と寂しさを打ち消すように、理由なき反抗は、繰り返されていく ・
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