~菜摘~

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菜摘に相手にされなくなった母親は、寂しさを酒で紛らわしてゆく。 当然、酒の量も増え、客との情事も増えつづけていた。 菜摘が中1の頃の冬休み、旭川で友達とカラオケで遊び、深夜ナンパされた男に家まで送ってもらった事がある。 その時の母親との衝突は、彼女の心の奥に刻まれる出来事だった。 その日深夜に、客と帰宅した母親は、その客を家の中に招き入れ、居間でイチャつきながら酒を呑んでいた… そこへ旭川から車で送ってもらった菜摘が帰宅したのだ。 母親 「こんな時間まで どこ行ってたのさ? あんた、不良だねぇ……」 かなり泥酔していた母親は、理性を失い語気を荒げた… 菜摘 「あ? テメェに言われたく無ぇし! キモいオヤジ連れこんで、バカ面してるテメェに関係無ぇからっ!」 菜摘もまた、日頃母親に対して持っていた不満をぶちまけるように、感情的な態度にでてしまう… グッと目つきが変わった母親が、よろけながら立ち上がり、コップに入った酒を菜摘にかけてしまった。 菜摘 「なにしてんだよオラ! 糞ババァ!!」 母親 「こらガキ!出ていけや!」 菜摘 「あ?テメェらが 出ていけや!」 そう言い放って部屋に入ろうとした菜摘の背中をよろけながら追いかけ、服をわし掴んだ母親… その弾(はず)みで2人は重なるように倒れた。 菜摘 「てめぇ!何してんのよ糞ババァ! おまえなんか要らねぇから!! おまえみてぇな親いらねぇから! ざけんじゃねーよ!」 そう叫んで立ち上がり、倒れたままの母親の頭に、足を振り下ろしてしまう… 母親は、うつ伏せに倒れたまま我が子の足を頭にうけ、気が狂ったように大声を出して泣きわめいた… 母親 「ああぁぁーっ!!」 そんな母親を後目に、菜摘は家から足早に出てゆく…… まだ起きているだろう親友の家を目指し、足早に静かな夜の町を進んでゆく… その可憐で純粋な瞳から、大きな涙をポロポロと落としながら… ・
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