田舎の駅

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そう、あれは浜辺でいつもと何も変わらないデートをするはずだった… 今、思うと…あの日のあなたはちっとも笑ってなくて顔もうつむいていたと思う… 日も暮れ始め深い海に太陽が沈みはじめた頃、アナタは波の音でかき消されてしまいそうな程の小さな声で 『夢を叶えるために上京したいんだ…』 と言ったのをかすかに覚えている… その後もアナタは何か言ってたけど、私は頭の中が真っ白になって聞こえていなかった。 多分、アナタは別れの言葉を言っていたのかもしれないね… そして、あの日から私たちの別れの日はすぐに来た。 日に数えれる程しか通らないこの田舎町の駅には当然、アナタと私しかいなかった…私が 『ホームまで着いて来て良い?』 と聞くと… アナタは 『ホームまで着いて来ると電車に乗れなくなるよ』と言ったあと 『あぁ、俺って自分から別れようって言ったのに未練タラタラなんだなぁ!』ってアナタは精一杯の笑顔で言ったから、私も笑顔を返そうとしたんだよ!でも、出来なかった… その時、2人しかいないこの駅に耳鳴りがする程の発車を告げるベルが鳴り響いた。 『じゃ、行くわ!』とアナタは私に背を向けた…その背中は小刻みに震えていた私は『頑張ってね…』そう言ったあと、涙が溢れ出して小刻みに震えるアナタの背中を抱くことしかできなかった… そして、アナタは私の知らないどこかで夢を叶えるための大きな一歩を踏みしめた。 私もアナタとの想い出を忘れることができるだろうか?と心配に思いながらもアナタとは反対の何も変わらない田舎町に戻るための一歩を踏みしめたんだ。 そう、アナタとは違う道への一歩を…
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