ChapterⅢ

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流民というのは基本的に兵士や国にとって忌避されるもの。 なんせ職を持っていないのだ。領主にとって税を取れない者に居場所など与える必要ない。 それでも勝手に街の路地裏や外壁の外に住み着いたりする者もいる。 故に、普通の領主にとって流民など害虫ぐらいにしか思われていない。 「まぁ、とりあえず様子を見てみるか……」 涙を流しながら一生懸命兵士に何か嘆願している女性の様子が気になり、俺はそっと近づいて話しを聞く。 「お、お願いしますッ、息子をお医者様に診せてあげてください!!」 「だから駄目だと言っているだろう? アンタには悪いが、どこの誰かもわからない奴を街に入れるわけにはいかないんだ」 「お金なら後で必ず払います!! ですから、今はどうか街に入れてください!!」 むむ、そういうことか…………はぁ。
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