ChapterⅢ

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確かに何処の街でも基本的に流民は入れないからなぁ…………はぁ、しょうがない。 「……兵士さん」 「ん? アレク様。どうかしたんですか?」 「悪いけど、屋敷から医者を呼んできてくれない?」 「えっ? い、良いんですかい?」 「うん。責任は俺がとるから」 そう言うと、兵士は一回だけ頷いて屋敷の方へ走っていく。 さて、俺も仕事をするか。流民とはいえ、それもちゃんとした労働力になるし。 「話は聞かせてもらったよ。街の中には入れられないけど、医者は呼んどいたから診てもらうと良いよ」 「ア、アレク様!?」 「あ、あの……」 俺の姿を見て敬礼する衛兵と、狼狽する女性。 そりゃそうだ。こんなガキが偉そうに踏ん反り返って敬礼されてんだ。 誰だってビックリすんだろ。 「自分はアースロワ・シュワリヒツィ様直々にこの街を任されているアレクサンドロスです」
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