ChapterⅢ

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女性と衛兵に医者を待つように言ってから、俺は残りの護衛の兵士と一緒に門の外に出る。 門を出てから少し歩くと、そこには今にも壊れそうな木と布だけで作られた粗末な建物が幾つかある集落みたいなもの。 多分あれが流民達の家なんだろうなぁ……。 集落に近づくと、そこに住んでいる人達はすぐに家の中に隠れる。 護衛の兵士を伴っている俺を貴族の坊ちゃんかなんかだと思ってんだろ。 「もし、そこのお方」 さて、どうしようかと考えていると、背後から老人に声をかけられた。 「もしや、名のある貴族のご子息ですか?」 俺が振り向くと、老人は愛想笑いを浮かべて下手に出ながら俺が誰が尋ねてくる。 「いや、自分はアースロワ・シュワリヒツィ伯爵様より直々にミシティアの管理を任されている者です」 俺がそう答えると、老人は一瞬だけ眉をしかめるも、すぐにまた愛想笑いを浮かべ直す。
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