ChapterⅢ

29/36

15730人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
「…………私達は隣の領。フィクル領のとある村から逃げ出して来たのです」 あぁ、納得。あそこの領から逃げて来たっていうならわかるわ。 なんせあそこの領は元からかなりの重税を課してた領だし、その上今年は不作やら何やらで大変だったのに、それでも重税は変わらなかったらしい。 そりゃ、逃げ出してくるさ。 「フィクル侯爵家の領、か」 「はい。私達の村も不作で作物が実らず、村人達皆が飢えていたというのに、変わらぬ重税。このままでは皆死ぬだけだと思い、この領へと逃げて来たのです」 とりあえずどこの住人だったのかも逃げて来た理由もわかった。 さて、それじゃ救いの手でも差し延べるか。 「貴方達の事情はわかりました。ですが、このままの状態では貴方達は結局死ぬしかありません」 「わかっております。流民は何処でも受け入れられぬ。それこそ盗賊になるか奴隷になるしか道はありませぬでしょう」
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15730人が本棚に入れています
本棚に追加