ChapterⅢ

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代表の老人が悔しそうに目を伏せ、自分達の辿る道を言う。 そんな老人の言葉に他の者達は絶望感を滲ませ、集落内に暗い雰囲気が蔓延していった。 「…………貴方達が本当に生き延びたいというなら、自分が手を貸しましょう」 「ど、どういうことでしょうか?」 「これから街を色々と改善していくには人手が必要でしてね。貴方達が望むというのなら職を与え、この街の住人にしても良い、ということです」 俺がそういうと、全員が信じられないといった感じにこちらを見る。 しかし、それは悪意の篭った視線ではなく、なぜ流民である自分達にそこまで施しを与えるのか? という疑問に満ちた視線だった。 「勿論これは自分の善意もありますが施政者としての考えもあります。貴方達には家と一ヶ月分の食料を貸します。貴方達は働いてそれを返してください。そうしたらこの街の住人として認めます。もし出来なかったのなら、その時は容赦なくこの街から追い出します」
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