ChapterⅢ

32/36
15730人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
「それでは、自分はこれで帰ります。食料などの準備などで少し時間がかかりますので、2~3日はもう少しこのままの生活で我慢してください。準備を整えたら使いを出しますので」 「あいわかりました。私達みたいな流民のためにそこまでして頂き、本当にありがとうございます」 そう言って頭を深く下げてくる老人。 村人達も老人に倣って頭を下げてくるし、数人の小さな子供達は満面の笑顔で「お兄ちゃんありがとう!!」と言ってくる。 …………何と言うかむず痒いな。 「いえ、民の事を考えて行動するのは施政者の基本です。民を考えるからこそ、民に支えて貰える。貴方達が恩を感じたというのなら、これからの街の為に仕事を頑張ってください」 上の者が下の者を思いやり、下の者が上の者を支えるのは当たり前のことだ。 だからそんなことでこうも感謝されると、いたたまれなくなる。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!