ChapterⅢ

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"アレクサンドロス"様。その名前は色々と噂になっているお方の名前。 このシュワリヒツィ領の領主様や隣領のベントリーゼ公爵領の領主様がパーティーなどでベタ褒めし、互いに次期筆頭文官にしたいと豪語したという噂が、平民にまで流れている。 また、この領に流れてから様々な街や村を見てきたが、街中にゴミ屑や糞尿などが無く、どこも綺麗で住人も過ごしやすそうにしていた。 そこの住人に聞くと、なんと疫病や感染病の防止、住人の衛生環境の向上、糞尿の肥料への転換など、様々な効果を出す政策を思い付いたのが、未だ成人もしていないアレクサンドロス様だそうな。 「長老、俺達はあのお方に着いていけば助かるんだな?」 「あぁ、そうじゃろう。あのお方の言葉や態度を見たじゃろ? あのお方こそ我々平民にとっての希望じゃ」 あのお方の言葉を思い出す。街や自分の利益だと言いつつも、わし達が決して苦しまぬように優しく手を差し延べてくれる。 あの優しさこそ、あのお方の本心なのじゃろうて。
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