恐怖の電車

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『おつかれ!』 『お疲れ様です!』 某大手企業に勤める稲葉浩介は、部下に別れを告げて、駅に向かった。 ここのところ、連日残業が続く。 フー・・・ 駅のホームにある自動販売機から、ため息をつきながらコーヒーを買った。 冷たい夜の冬風に身を震わせながら飲む熱いコーヒーはうまかった。 うまい・・・ こんなうまいコーヒーを飲むのは、人生で最後だな・・・ コーヒーを飲み干すと、浩介は指定されたゴミ箱に、缶を捨てた。 カラン・・・ 乾いた音が、ゴミ箱内に響いた。 その音で、ふと思った。 人生で最後? 何でそう思った。 気にしながら、辺りを見渡した。 駅のホームには誰もいない。 こんな時間とは言え、妙だ。 浩介は、訝しく思った。
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