8人が本棚に入れています
本棚に追加
『おつかれ!』
『お疲れ様です!』
某大手企業に勤める稲葉浩介は、部下に別れを告げて、駅に向かった。
ここのところ、連日残業が続く。
フー・・・
駅のホームにある自動販売機から、ため息をつきながらコーヒーを買った。
冷たい夜の冬風に身を震わせながら飲む熱いコーヒーはうまかった。
うまい・・・
こんなうまいコーヒーを飲むのは、人生で最後だな・・・
コーヒーを飲み干すと、浩介は指定されたゴミ箱に、缶を捨てた。
カラン・・・
乾いた音が、ゴミ箱内に響いた。
その音で、ふと思った。
人生で最後?
何でそう思った。
気にしながら、辺りを見渡した。
駅のホームには誰もいない。
こんな時間とは言え、妙だ。
浩介は、訝しく思った。
最初のコメントを投稿しよう!