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「でも、留学の話が来てからもうずっとずっと会いに来てくれなくなったの…」
君は、
俺のそばでただ一人の為じゃなくて、
世界中の人の心を癒す存在になれるから
って。
嘘つきだよね?
辞めてしまいなよって言ってくれたのに。
歌、以外に私に与えてくれたのに。
「貴方を代わりに連れてきたって事は、もう私には会いたくないんだよね」
少女は哀しげに笑って、私を見た。
「沢山、今までありがとうって伝えて、彼に」
私、頑張ってくるよ。沢山沢山歌ったら、また彼に声が届くかもしれないからって。
冷たい表情だけど、笑顔は素敵だから、だからどうか……
「彼をよろしくお願いします」
純粋に笑ってそう言う彼女に、
私の心が見透かされている様で、
私は自分の醜さに恥ずかしくなった。
彼女の歌声は、私の醜さを曝け出す。
ドロドロとした汚い部分が、涙に溶けて流れていくような……
まるで、少女自身そのままの歌声。
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