1/2の話。

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男の子は顔を上げずに答える。 「見て分からないの?」 半分以下になった青のクレヨンで、男の子は床に力を込めずに線を引いていく。 「とても長い、色鮮やかな二つの線だね」 それしか分からなかったよ。 そう言うと男の子はこちらを見上げた。 「どちらも同じぐらい大切だから、ぼく決められないって先生に言ったんだ」 屋上の床の端から端までに引かれた、長い2本の線。 「そうしたら、選べない程に大切なら、あとは運で選ぶしかないよって」 だから今、『運』で決めているんだ。 手離す方を。 「君の大切なものって?」 男の子は立ち上がると、端までゆっくり歩いてゆく。 そうして、俺を見上げた。 「 お父さん と お母さん 」 一番端まで歩いていくと、端から端からまで引かれた2つの線に、 横に線を引き始めた。  
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