1/2の話。

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俺はしつこく話しかける。 「なんであみだなの?」 男の子は下を向いたまま顔を上げずに、 「だって、お母さんとお父さん喧嘩するんだ 『朝、先に挨拶してきた方が引き取りましょう』とか 『中学に入学する前には離婚しますからね』って」 毎晩、毎晩毎晩毎晩 「ぼくの存在も喧嘩の原因みたいなんだ」 だから家に居なければ、 ぼくが自分で選ぶって言えば、 喧嘩の原因は減るでしょう? それに、家に居なければ、 喧嘩の声、聞かずにすむしね。 「君は、とても優しいんだね」 こんなにも、両親を愛してるのに、 両親はこの子を見てはないんだね。 しょうがないけれど、 生まれる場所を自分で選べないけれど、 けれど、 「ぼくが居なくても平気なら、 ぼくは生まれなきゃ良かったんだ」 そんな、自分を否定する言葉、 こんな、優しい男の子から聞きたくないよ。 化物の俺だって、 見苦しく生きながら、 自分の存在が赦される場所を探しているのに。 「だから、ぼくはここで運で選んでいる」 細やかな足掻きを見せながら。
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