1/2の話。

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「ここね、広いから一日中かけてもクジを書き終わらないんだよ」 それに、沢山沢山色を使って書けば綺麗だし、楽しいし。 「雨が降れば、もっと良いな。 また最初からやり直しできるから」 ――あぁ、そうだね。 君はここで、とても小さな抵抗をしてるんだね。 小さく足掻きながら、 小さく叫びながら、 選ぶ事に怯えて。 「ぼくが選ぶまで、まだ皆家族だからね」 喧嘩の声なんて聞きたくないし 自分の存在さえ否定しながらも この男の子は、俺と同じ。 もしかして……って、 まだ、足掻いてる。 まだ、諦めきれていない。 それは、男の子が幸せな時間があった事を忘れてないから。 「でも、ちゃんと分かってるよ」 諦めなきゃいけないって。 選ぶ事はできても、 やり直す事は不可能だって。
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