1/2の話。

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「2つのうち1つだから、すぐ決まるよって」 先生は何も分かってないね。 選択技は沢山あればある程に、 可能性を期待できるんだ。 まだ希望を夢見れるのに。 1/2じゃ、何も夢なんて見れないよ。 「そう、思わない?お兄さん」 優しい男の子の瞳が、とろんと濁っている事が悲しかった。 泣いて泣き叫んで、 選べないって暴れても それで結果が変わらない って、 分かってしまったんだよね。 「俺は奇跡を見た事あるから、まだ足掻いてみるよ」 だから、君も、まだ今まで通りに時間稼ぎしようよ。 時間をゆっくりかけたら、きっと…… 選択技が広がるかも知れない。 時間が無いなら、 俺が止めても良いよ。 「ありがとう。お兄さんも優しいよね」 少年らしくない笑顔で哀しくなってきた。 「あ、雨だ」  
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