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記憶を無くした彼は、その少女に「天使」だと言われ、嬉しくなりました。
本当に天使なのだと、何故かそう少女は信じさせてくれました。
そして、彼女を忘れた彼は、その少女を愛していきました。
自分を天使だとひた向きに信じてくれる、看病してくれる優しい一人の人間に。
――やっと見つけた彼は、自分を忘れて違う人間の傍らに。
怒った神様は、白い翼を彼から奪いました。
黒い翼に戻った彼。
記憶を思い出した彼。
異変に気づき、駆けつける町の人々。
それでも、彼を天使だと信じる少女。
彼を庇う少女さえ、町の人々は無慈悲に襲いかかります。
彼は、少女を守りきる事ができず、
片目と少女を失ってしまいました。
あぁ、自分が悪魔なせいで。
あぁ、自分が全部悪いんだ。
彼女をせめる事なんて自分にできるはずかない、と。
彼は、失った片目に、自分の罪を刻みました。
そして、少女の首に下がっていた十字架のネックレスを形見に貰い、彼女に会いに行きました。
けれど、彼女はどこを探しても見つかりません。
彼女も、彼に合わせる顔がなく、逃げる様に隠れていたのです。
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