蝶々の話。

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フッと辺りが暗くなって、瞼を開けた。 でもどうやら、トンネルに入っただけだった。 まだ、日が落ちる、少し前の時間だったから。 ガタン、 ゴトン、 ガタン、 ゴトン、 少し長めのトンネルで、 俺は退屈そうに暗い窓を見つめていた。 ガタン、 ゴトン、 ガタン、 ゴトン、 でも、窓の外には、 ただのトンネルの壁だけじゃない。 淡く、青い光に包まれた 綺麗な綺麗な 蝶の姿があった。 妖艶で、 神秘的に、 光輝く青い蝶。 涼しげに、電車の窓に止まっている。 ―――そちらは乗り心地どうだい? 俺と駅長さんだけの電車かと思っていたけれど、 違っていたね。 素敵な魅力を持つ蝶よ。  
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