目眩。

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遠くの遠くの海の上の国。 大きな大きな蛇口から 流れていく汚れた水。 消えていく海に       映る空の色。 汚れていく海を誰も見ない。 深い深い海の底で泣く魚たち。 消えることはない人魚の歌声。 哀しい色に染まる海に       映る空の色。 汚れていく海には やがて色は消えて、 何も残らなくて…… 流れる涙の海に       映る空の色。 何もない消えた海。 一人の絵描きがやって来た。 けれど、ため息一つ残して立ち去った。 誰も見ない海に      映る空の色。 あぁ、海に映る空の色は 目眩がするほど蒼いといい……  
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