初恋 ~浅き夢見し~

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「・・・見つかる可能性は変わらず低いままです。 無駄足に終わることを覚悟していただけますか? それでも良ければ、私なりに全力を尽くします」 そう告げると、依頼者は構いませんと言い、頭を下げた。 希望がつながったことが嬉しかったのだろう。 最初の落ち込みを忘れ、憑き物が落ちたかのような顔で、事務所を後にした。 仕方ない。 本部には最小限の費用で続行を伝えておいて、内緒で空いてる人員を全て投入するとしよう。 「お人好しだねえ」 Iさんが笑う。 「・・・そう仕向けたのは誰だよ。 だいたい、盗み聞きするんじゃないよ、まったく」 また丸め込まれてしまった。 くすくす笑うIさんの頭を軽く小突いて、席に戻る。 ・・・まだ笑ってやがる・・・・・
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