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休日でごった返すデックスのテラスを駆け抜ける。
対の車は渋滞に巻き込まれてるとはいえ、少しでも流れ出せばもう追いつけない。
バイクまで後少し。
何事かと向けられる視線をかいくぐりながら、全速力で走り続けた。
カップルや家族連れで溢れるお台場には似つかわしくない光景だな・・・と、どこか冷静な自分と、早く尾行体制を整えなければ・・・と、焦る自分。
見失ってたまるか!と心で叫び、階段を一気に駆け降りた。
バイクにまたがり、携帯のイヤホンマイクを着けヘルメットをかぶる。
エンジンをかけると同時に、携帯が着信を告げる。
テラスから対を見ているM君からだ。
「対、もうすぐまぁくさんのいる場所に来ます!」
「OK。追いながら実況中継するわ。
車と合流して、後から来て」
電話をつなぎっぱなしにしたまま、横の通りを注視する。
対の乗る車を捕捉した。
"何とか間に合った・・・
さあ、ここからだ。
見失うなよ、俺"
自分に言い聞かせ、アクセルを吹かす。
間に二台の車を挟み、白いアウディを追った。
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