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二人はとりあえず、天井恐怖症が持参していたポットに入った紅茶で、屋根の上のお茶会を開いていた。
紅茶はキンキンに冷えていて、そこいらじゅうを駆けずり回っていた空き巣の喉を潤し、天井恐怖症は空き巣からもらった乾パンを嬉しそうにネズミのように齧って、その様子を見ていた。
どちらも『なぜ君が此処に居るか』なんて聞きもしない。
それはとても不粋というものというか、空き巣としてはあまり正体を明かしたくなかったので、余計なことは口走りたくなかったし、天井恐怖症は折角の屋根の上のお茶会を台無しにしたくなく、それに空き巣の風体を目に入れることができなかったからだ。
天井恐怖症の両目は、醜い一文字の刀傷で潰れていて。
空き巣の黒いつなぎは、真っ赤な血に汚れていた。
天井恐怖症の家族は刀狂いで、空き巣はたった今人を殺してきたからで。
二人はそんな惨状を屋根の上で晒しつつ、プラスチックでできたコップの中でミルクティーを揺らしていた。
そんな二人のことを知っていたのは、黒と白のつがいの猫だけだったはずだ。
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