あの日砂浜で・・・

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「あ~いまね~。沙耶がもてるるうっていふ、はらししてらんですよ。」 酔いつぶれた子たちの為に、砂浜に強いたビニールシートの保健室からよみがえってきたやつがいる。 「おまえねてたんじゃね~のか?」 さっきまで、横になっていて存在感がなかった奈緒がいきなり復活したので、側に座っていた飯田がびっくりしたような呆れたような表情で奈緒を見る。 奈緒とは、大学でもよく一緒に講義を受けたり、わりと仲良くしている。 すごく楽しい子だけど、お酒をのむとでろんでろんに酔っ払ってしまう。 ゼミでもサク癖が悪くて有名だったりもする。 本人はお酒大好きなんだけどね・・・。 「さ~や~はねぇ、すっごくもてるんれすよ。今は、かれひいないれすけどね。 ねらったおろこはにがさらいんですよ~ざ!れんはいますたぁ~」 奈緒が訳わからない事をくちばしる。 「!!!ちょちょっとぉ。何いってるの」 あわてて奈緒にかけよろうとした瞬間、飯田に腕をつかまれる。 「はい、はい、逃げない。」 「奈緒ちゃんの沙弥情報たっぷり聞かせてもらおうよ!」 飯田は面白い展開になったとばかりに、ニタニタと笑う。 周りの子達も、泥酔して話題に入っている奈緒を笑っているのか、私の事を笑っているのか・・・。 どちらにしても私には迷惑な話・・・。 「へぇ、そうなんだ。沙弥ちゃんが恋愛マスターねぇ。沙弥ちゃんは、綺麗とおもってたけどそんなにやり手とはしらなかったなぁ。なぁ、比嘉」 今までほとんど話したことなどない、吉野先輩が砂浜に座りながら私の方を見て笑う。 「だねぇ」 何か言いたげな比嘉先輩が、飯田をどかして私のとなりに座る。 比嘉さんは、同じゼミの先輩で、このゼミに入ったときから少しあこがれを感じてたりもした。背がとても高い。 切れ長の瞳で、少し冷たい感じもするが笑顔がとてもかわいい。 「沙弥は恋愛マスターなのか。狙った人は必ずおとす!かぁ。かっこいいね。」 比嘉先輩に顔をのぞきこまれる。 すごく至近距離で顔をのぞかれるし、見に覚えのないことでいじられるし・・・ 自分の顔がかぁっと厚くなるのがわかる。 もう。なんでこんな恥ずかしい思いをしなくちゃいけないんだよ。
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